[ストーリー]
県境の小さな村で、家族が惨殺されるという猟奇殺人事件が発生した。
生き残りである主人公・尾鷲宗真はその事件を切欠に『死』に対して強い興味を持つようになる。
一方、遠く離れたアメリカの地で世界的に有名なシンガー・ウィルヘルムがマンションから落下するという事件が起こる。
自殺とも殺人とも取れない不可解な事件に警察の捜査も難航する。
加え、落下を自殺と解釈した一部のファンたちが集団で自殺し始めたのだった。
特異で稀なこの現象は次第に伝播、拡大し、世界的なものとなっていった。
ある時、学校に見覚えのある一人のカウンセラーが赴任してくる。
その顔は前日の夜、偶然居合わせた飛び降り自殺の現場で目撃した女性だった。
その事件を切欠に他の自殺現場を回り始めた尾鷲は違和感を覚える。
現場を回り、対話を繰り返すうちに尾鷲の違和感ははっきりとした輪郭を持つようになっていった。
この現象は如何にして進行し、何処に収束、あるいは終息するのか。
やがて断片は再結合し一つの結論へと辿り着く。
その中で彼は知る。
全ての人間には例外なく自己破壊に向かう死の本能が存在するということを。
そして、それはこう称される。
『暗くて、深くて、とても広い、でも生命を生んでくれた海のような母なる場所――タナトスの海』と。
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