空に零れた、アイの叫び


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その日の街は、記録が残っている中で一番の暑さだった。

雲一つない空。
蒼と太陽だけが、空を支配していた。
地面を焦がす太陽の光は、間違いなくこの暑さの原因だった。
陽炎の中に佇む人影。
辺りに広がる人のざわめき。

「一年、ボール集めてー」
「おら、もっと声出せ。いーち、にーい……」

クラブ活動に汗を流す。
止めどなく溢れる汗は運動着に染みていった。
その賑やかな外の世界とは裏腹に閑散としている空間があった。
学校の校舎。
クラブ活動をする生徒はみんな外へ出て、その他のものは帰宅している。
人がいない校舎はしんと静まり返っていた。
しかし、その教室だけは例外だった。
遠くに聞こえる声。
開いた窓からは心地よい風が流れ込んでいる。
取り付けられたカーテンはゆらゆらと舞い踊る。

「ねぇねぇ、そう言えば知ってる?」

その静寂に合わせるように、女の子は声を潜めて言った。
その女の子に合わせるように、向かい合って話していたもう一人の女の子も声を潜める。

「何が?」

内緒話のような感じ。
しかし、それは内緒話ではなかった。

「三組に熊谷君っているじゃない?」
「んー。あ、そう言えばそんな子いるね」
「その熊谷君、最近学校来てないらしいんだけど、実は事故起こして入院してるらしいの」

他愛もない噂話。
どこの学校でも噂の一つや二つなんてすぐに湧いてくる。
噂の元になる事さえ起こればそれで噂はまるで生き物のように広がっていく。
それは短期間で地球を支配した人間のようにすばやく、そして巨大に。

「あー、その話知ってる。でも、私は家出したって聞いたよ?」

所詮は噂。
人の興味が作り出した幻想話。
しかし、なぜかそれはやがてある一点に向かって収束する。
より突拍子のないものへと。
そして、より近い真実へと――


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