小説用語解説

以下の内容は小説のネタバレなので先に小説を読むことをお勧めします。
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― 小 説 用 語 辞 書 ―

表の見方
語句
語句の読み方
出典作品名
語句の分類
[データ]
小説内で解説されている内容をまとめています。

[裏設定]
小説内で重要なこと、あるいは語られていない設定をまとめています。

[参照]
この言葉が作られた経緯。





― あ 行 ―
RGP-321型
あーるじーぴー さんにいちがた
MACHINE HAZARD
名詞
[データ]
カオスの正式名称。


あいつ
あいつ
白詰草の咲かない春に
人名
[データ]
『白詰草の咲かない春に』に出てくる平瀬さおりの幼馴染の青年。名前は一度も語られず、いつも“あいつ”と呼ばれる。何でもそつなくこなす優等生だが、どちらかというと文系で大人しい。白い肌とすらっとした体型から中性的に見られる。さおり同様、頼られる存在で、男女とも友人は多い。“恋人は不要”という思想まで同じ。


アトラスビル
あとらすびる
タナトスの海
名詞
[データ]
新しく建てられた巨大なビルで、その巨大さからギリシャ神話で天を支えていると言われている巨人の名前が付けられた。

[参照]
「タナトス」がギリシャ神話の神であることから名付けた。


アンビバレンス・パラドックス
あんびばれんす・ぱらどっくす
タナトスの海
名詞
[データ]
造語。二つの全く異なったものが同時に存在している状態で、何らかの原因でその均衡が破れ、それを矛盾として認識せざるを得ない状況になった場合、何かしらの症状が発現するという現象。


ウィルヘルム
うぃるへるむ
タナトスの海
人名
[データ]
世界的に有名なアメリカの女性シンガー。彼女の自殺から全ての事件は始まる。「will of helm」が元で「先導者」という意味。

[参照]
「Will helm(ウィルヘルム)」を続けて読むと「Willhelm」となる。これはドイツ語では「ヴィルヘルム」と発音する。この名前はゲーテの「若きウェルテルの悩み」の主人公ウェルテルの元とされたカール・ヴィルヘルム・イェルーザレムの名前からの引用で、カール・ヴィルヘルムが「若きウェルテルの悩み」の元(=原因)と考え、ウィルヘルムが「タナトスの海」における原因と言う意味で付けた。


ウェルテル効果
うぇるてるこうか
タナトスの海
名詞
[データ]
「若きウェルテルの悩み」の主人公ウェルテルの死を模倣して、後追い自殺をしたことから、誰かの死を受けて自らその行動を模倣して死に至る集団自殺現象を「ウェルテル効果」という。ドミノ連鎖、連鎖自殺ともいい、物語の元凶。また、ひとつの犯罪が発生すると、それを模倣するものが出てくるが、一種のウェルテル効果と考える人もいる。


Et arma et verba vulnerant
えと あるま えと うぇるば うるねらんと
外視風景
題名
[データ]
外視風景 2/深淵侵蝕のサブタイトル。

[参照]
ラテン語の格言。意味は「武器も言葉も(人を)傷つける」。


長村愛
おさむら あい
外視風景
人名
[データ]
狭間が子供の頃入院していた病院で働いていた看護師。子供好きで、よく悪戯をする。


尾鷲宗真
おわせ そうま
タナトスの海
人名
[データ]
主人公。過去に起こった一家惨殺事件の生き残り。その頃から死に対して異常な興味を示す。沈着冷静で観察力が鋭く、頭の回転が驚くほど高い。

[裏設定]
タイトルになっている「タナトス」という言葉はギリシャ神話の死の神の名前であり、デストルドーとほぼ同意で、日本語に訳されるときは「死の欲動」などと言われている。その対義語は「エロス(リビドー)」で、「尾鷲(おわせ)」の文字を(「あ」⇒「い」、「お」⇒「か」という具合で)五十音順にひとつずつずらすと「エロス」になる。つまり、尾鷲は死を欲しながら、自身が生であるというアンビバレンスを抱えている。


― か 行 ―
邂逅
かいこう
外視風景
題名
[データ]
外視風景 2/深淵侵蝕の第三章のタイトル。思いがけない巡り合わせ。

[裏設定]
狭間が月読という特別な人に出会ったことから。


乖死残魄
かいしざんぱく
外視風景
名詞
[データ]
死に背いて魂が残留する。精神と魂だけで活動できる状態になる能力。本来不結合者の能力には同じものは存在しない。個人個人の能力にはどこか微妙に差異がある。そのため大雑把に似ているものをまとめてその能力の名で呼ぶが、乖死残魄だけは違う。人は死を拒み、生きようとするが、不本意な死はこの世に残りたいという想いを増幅させる。その想いが死ぬ間際になって乖死残魄の能力を発現させる。この能力だけは誰でも同じである。最初は死んだときの想いの塊であるが、時間が経つにつれ、生前の知識を回復させ、また知恵をつけていく。最終的には霊気が仮の肉体を構成できるようになり、また知能も普通の人間と同等になるので人間と同じ振る舞いになる。


外視風景
がいしふうけい
外視風景
題名
[データ]
小説のタイトル。それを軸のいくつかの話が始まる。


カオス
かおす
MACHINE HAZARD
人名
[データ]
正式名称「RGP-321型」。霧島たちが作ったAI。本来は人間の命令を忠実にこなすプログラムだったが、突然自我に目覚め、自らのプログラムを自らで書き換え、進化を始める。コンピュータが統治する世界を作るため人間を一掃しようと目論む。もし、きちんとした形で製品化されれば人間の一日の自由時間が50%増えるという。

[参照]
カオス理論からの引用。カオスのごくわずかなずれが将来大きな結果をもたらす(バタフライ効果)という特徴から、カオスという存在が人間に甚大な影響をもたらすとして名付けた。


鹿島カウンセリングセンター
かしまかうんせりんぐせんたー
タナトスの海
名詞
[データ]
尾鷲の住む街にある建物。


影守 静鳴
かげもり しずな
外視風景
人名
[データ]
月読たちと共同生活をしている少女。17歳。


片瀬 海名
かたせ うみな
MACHINE HAZARD
人名
[データ]
直輝の妹。母親の変わりに家事をテキパキとこなす。世話焼き。


片瀬 直輝
かたせ なおき
MACHINE HAZARD
人名
[データ]
MACHINE HAZARDの主人公。独学でプログラムを勉強し、世界でトップクラスのプログラマーとなった。ある企業に就職していたが、束縛される生活を嫌い、辞職する。妹の海名を大切にし、家庭の収入源としてがんばっているが、生活能力は低く、いつも海名に怒られている。


加奈子
かなこ
タナトスの海
人名
[データ]
マンションから飛び降りた少女。


川野診療所
かわのしんりょうじょ
タナトスの海
名詞
[データ]
尾鷲の住む街にある建物。


霧島
きりしま
MACHINE HAZARD
人名
[データ]
カオスを作るため組織された研究所の所長。冷静で統率力があり、組織の中で最も高い技術力の持ち主。


霧島学園
きりしまがくえん
タナトスの海
名詞
[データ]
尾鷲の通う学校。


禁忌
きんき
外視風景・タナトスの海
名詞
[データ]
1)宗教的、倫理的などの理由から冒してはならない事象として認識されている事柄。タブー。禁忌を冒すことは、社会的、共同体的に許されないことであり、禁忌を冒したものは異常として扱われる。殺人などがその代表例である。ただし、絶対的なものでない(冒そうと思えば誰でも冒せる)ので、同じ事柄でも各地域によって禁忌かそうでないかが異なる。

2)世界には多数の部族が存在するが、殺人と近親相姦だけはどの部族も例外なく認めていないらしい。それだけ殺人と言うのは重い禁忌だったということであり、人が潜在的に持ち合わせる共通の規範である。


くさり
タナトスの海
名詞
[データ]
ウィルヘルムが出したアルバムの中に収録されている曲のタイトル。


ゲッシュ
げっしゅ
外視風景
名詞
[参照]
アイルランドでいう禁忌のこと。古代ケルトで行われてきた魔術的契約。古代ケルトでは戦士階級の男が一人前になると、ドルイドや女性からゲッシュが与えられる。これを破ることは死より大きな屈辱であり、死刑になる場合もあった。また、自分自身で与えた契約も重要で、一度契約すると命を捨ててでも守らなければならなかった。ゲッシュの内容は「〜をしない」「〜をしなければならない」といったことである。ゲッシュを守ると加護が得られ、自分自身を高めることができる。戦争などでは敵のゲッシュを調べ、ゲッシュを破らざるを得ない状況にするのも一種の戦術であった。日常的に行われる「宿題をしたら遊ぼう」なども言い換えれば「〜しなければ、〜してはいけない」(宿題をしなければ、遊んではならない)という一種のゲッシュであるといえる(そうすることで一般的に集中を得ることができる。これが魔術とするかは現在では疑問であるが、少なくとも古代ケルトではゲッシュの一部であっただろう)。小説内では「殺さなければならない」「徘徊しなければならない」という誓いを立て、魔力を向上させていた。殺人や窃盗など、その誓いが達成しがたいものであればあるほど上昇率が高い(はずである)。


幻シ
げんし
外視風景
題名
[データ]
外視風景 1/精神感染の第四章のタイトル。

[裏設定]
「シ」には「死」「視」の意味がある。実果の死=幻の死としての「死」。ストーリー全体を通して、幻が見えていたという意味の「視」。この二つの意味が備わっている。


コト忌み
こといみ
外視風景
題名
[データ]
外視風景 2/深淵侵蝕の第四章のタイトル。

[参照]
物語中にあるように、「事」=「言」である。すなわち、「言忌み」「事忌み」という意味になる。「事忌み」は「不吉な事を忌み避ける」という意味で、「言忌み」は「不吉な言葉を避ける」という意味である。同時に「異」も「コト」と発音するので「異忌み」となり、「異なるものを避ける」という意味になる。「異なるもの」とは狭間でいう識外読視のような異質のものである。


言葉
ことば
外視風景
名詞
[参照]
月読の言っているように、「ことば」の原形は「言」であり、「言」と「事」のあいだに区別がほとんどない。したがって「事」=「言」が成り立つ。そこから名前をつけたものはその場所を支配できるという思想が生まれ、これが言霊信仰になった。言霊信仰とは、言葉には霊(小説内では魔力)が宿っており、その霊の力(魔力)が働くことで言葉を具現化するというもの。この「霊」と不結合者の「霊気」は関係ない。


― さ 行 ―
彩夏
さいか
彩夏
題名
[データ]
小説のタイトル。

[裏設定]
二人の出合った夏という大切な季節を、心というキャンパスに塗るという意味。


崎本
さきもと
タナトスの海
人名
[データ]
主人公の学友。


The black cat
ざ ぶらっく きゃっと
外視風景
題名
[データ]
外視風景 1/精神感染のサブタイトル。

[参照]
エドガー・アラン・ポーの小説「黒猫」から。


CGNシステム
しーじーえぬしすてむ
MACHINE HAZARD
名詞
[データ]
コンピュータゲノムネットワークシステム(Computer Genome Network System)の略。人工衛星タキオンを使って特殊なマイクロチップを埋め込んでいるものを自由に操作するシステムの総称。それがコンピュータという生命体における遺伝子のようなのでこう呼ばれる。


識外読視
しきがいどくし
外視風景
名詞
[データ]
意識の外(=無意識)で対象の心を読み、視る。狭間の場合、触れた時、対象が考えていることが読める。心が読めるわけではない。動物などの考えは読めないこともないが、人間が動物の言葉が解からない様に、読んでも解からない。逆に人間の想いさえ残留していれば、何でも読むことが可能。ただし、集中を要するため普段より疲れる。


四条 時也
しじょう ときや
外視風景
人名
[データ]
月読たちの協力者。事務所を作ったのもこの人。


紫月 澄音
しづき すみね
彩夏
人名
[データ]
黎明の店主。彩夏のサブ主人公。清楚だが明るく、元気で大雑把。見た目と性格が正反対。なんでも笑顔で許してしまう人。常識が普通の人からずれているが、本人は至って真面目である。

[裏設定]
病に冒されていて、あまり長くは生きられない。延命しても、病院に縛られているのなら意味がないと考えた紫月は、一人でやりたいようにやろうと絵を描き始める。病気に負けず、残りの人生を精一杯生きようとする心の強い女性である。


巡洋艦イーグルアーク
じゅんようかんいーぐるあーく
MACHINE HAZARD
名詞
[データ]
カオスによって操作され、ミサイルを放った巡洋艦。

[裏設定]
正式名称・アメリカ海軍第七艦隊所属カルタック型巡洋艦イーグルアーク。横須賀に停泊中、カオスに操られる。


下道真
しもつみち まこと
外視風景
人名
[データ]
狭間が入院していた病院の院長。

[参照]
下道は作品中、人形名前を知ることで人形を操っている。この名前を知ることで相手を支配できるという設定は、アーシュラ・K・ル=グウィンのゲド戦記が有名である。ゲド戦記の世界では「真(まこと)の名」はその名前の持ち主を支配する事もできるものであり、名前を授けることができるのは魔法使いなどの特別な人々であった。2/深淵侵蝕ではその流れを受けているため、名前を知ることで人形を操っている院長は下道(げどう)つまり、「ゲド」なのである。また、名前の『真』は『真の名』からとったものである。


白詰草の咲かない春に
しろつめくさのさかないはるに
白詰草の咲かない春に
題名
[データ]
小説のタイトル。恋人はいらないという二人の男女の心境の変化を小学校から高校卒業までを追って描いた作品。『In spring when the white clover doesn't bloom...』はその英訳。

[裏設定]
白詰草は梱包などの詰め物(緩衝材)として使われていた歴史がある。したがって、平瀬さおりの心に開いた空隙を生めるものがないという状態を示している。


深淵侵蝕
しんえんしんしょく
外視風景
題名
[データ]
外視風景の第二話のタイトル。

[裏設定]
深淵とは奥底、つまり意識していない心の底を指し、そこが言葉で侵蝕されるという狭間の心の様子から。言葉は(作品中では魔力を帯びているとせいで)心に影響し、相手の心を傷つけるという内容。逆も然り。小説では下道の言葉を負とし、月読たちの言葉を正として描かれている。

[参照]
アーシュラ・K・ル=グウィンの小説「ゲド戦記」を参照しており、ところどろこに共通点を見出せる。


蜃気楼
しんきろう
外視風景
題名
[データ]
外視風景 1/精神感染の第二章のタイトル。

[裏設定]
そこにいたかと思えば、消えてしまう、蜃気楼のような雰囲気から。


心気朧
しんきろう
外視風景
題名
[データ]
外視風景 1/精神感染の第三章のタイトル。造語。

[裏設定]
心気とは「気持ち」「気分」。朧とは「薄く霞んでいる様子」。転じて「心が霞んでいる様子」。実果を指す。第二章のタイトルと同音語。


精神感染
せいしんかんせん
外視風景
題名
[データ]
外視風景の第一話のタイトル。

[裏設定]
精神はただ人の中にある個別な存在ではなく、他に触れ合うことで影響しあうものであるという内容から。小説の内容では負の精神の伝染を描いているが、それはいい意味でも悪い意味でも起こりうるという訴え。

[参照]
エドガー・アラン・ポーの小説「黒猫」を参照している。ところどころに共通点を見出せる。


蒼明晶
そうめいしょう
外視風景
名詞
[データ]
四条曰く、自分が作り出した武器の中で三本の指に入る傑作。四条が作り出したナイフで月読が強引に拝借してきた。ただ、その後巨額の金を要求され、支払いに追われている。ナイフといっても人を切る目的で作られたものではなく、青水晶(ブルークォーツ)の力で霊気を増幅させているだけの代物である。月読の能力にベストな形状・効果である。


― た 行 ―
第666電子区域
だいろくろくろくでんしくいき
MACHINE HAZARD
名詞
[データ]
カオスを構成するプログラムの666番目の領域。カオスを人間らしくするために凶暴なプログラムを入れたが、脱走しようとしたために消去される。

[参照]
666は新約聖書のヨハネの黙示録に記述されている数字。「ここに知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は666である」と言われている。転じて人間の深層にある破壊という衝動の原点と解釈し、666電子区域に「破壊」をプログラムした。しかし、666は正数7が欠けた数字が三つ並んだとして最大の不完全ともいわれるのでカオスは人間を模擬して作られたAIだが、決して人間と同列に並ぶことのできない存在としての意味も持つ。


タキオン
たきおん
MACHINE HAZARD
名詞
[データ]
CGNシステムを監視・制御するために打ち上げられた人工衛星の総称。

[裏設定]
この一機だけでは地球全体の情報を制御できないので他に数機打ち上げられている。それらはそれぞれに名前があるが、CGNシステムに関与しているものをまとめてタキオンと呼んでいる。ぞれぞれの衛星にはタキオンナンバーが刻印されてる。

[参照]
タキオンは光速より速く動くと仮定されている架空の粒子。FTTH(光)より速いという意味で名付けた。


タナトスの海
たなとすのうみ
タナトスの海
題名・名詞
[データ]
1)小説のタイトル。

2)デストルドー。人の心に例外なく存在している攻撃、自己破壊に向かう死の本能を喩えている。

[裏設定]
穂積曰く『欲動。衝動。根源。源泉。願望。なんでもいいし、なんなら全部でもいい』ものであり、『ヒトの心の中にある、暗くて、深くて、とても広い、でも、生命を生んでくれた海のような母なる場所』。つまり、人の心には「タナトスの海」が広がっている。だが、そうであるにも関わらず、現代社会はそれを否定している。『死』の供給が絶たれた人々は、それを補うために殺人を犯す。死を忌み嫌い、妨げるのではなく、受け入れていかなければならないという訴え。


月読 海葉
つくよみ みは
外視風景
人名
[データ]
表向きは探偵となっているが、実は不結合者や魔術に関する事を専門に取り扱い、調査する事務所の所長。探偵業は収入が少ないので行っているだけ。夜霧、狭間の母親的存在だが、大雑把、適当、家事はしないと母親的な能力は皆無。長くこの世界にいるので、沈着冷静、物知り。自らも不干結界の不結合者。煙草とギャンブルを好む。28歳。

[参照]
名前は日本神話の神、ツクヨミに由来する。そのツクヨミは性別は特に記述されていないので両性の性質を持っているように、女性であるが男性のような性格にした。加え、イザナギとともに夜を治めるよう指示されたので、名前に「月」が付く。また、海を治めるよう命じられたという話もあるため、同時に「海」という漢字も付いている。そして、もう一つの理由として、月読が母親的な立場なため、女性を象徴する「月」と母親を象徴する「海」が付けられる。


月読探偵事務所
つくよみたんていじむしょ
外視風景
名詞
[データ]
月読の経営する事務所の名前。月読は自分の名前が入っていることが気に入らないので嫌っている。


天国への扉
てんごくへのとびら
タナトスの海
名詞
[参照]
『天国への扉』とはただ単純に死ぬということではなく、1997年、アメリカのカリフォルニア州で集団自殺をした宗教教団「ヘブンズゲート」のことである。集団自殺というところに類似点を見出せ、ある意味でのウェルテル効果ともいえる。ちなみにその後の『ドアが閉まる』という表現は「天国への扉」が閉まったという比喩である。


― な 行 ―
ナナシの剣
ななしのつるぎ
外視風景
名詞
[データ]
実果の住んでいる村に伝わる刀。誰もその詳しいことを知らないので、名無しと呼ばれる。

[参照]
何かの本で読んだのだが、昔は神聖なもの、場所には名前を付けなかったらしい(ユダヤ・キリストのヤハウェのような扱いか?)


七年
ななねん
外視風景
名詞
[参照]
狭間が月読の下で修行をした期間であるが、七年という数字には意味がある。聖書において七とは完全性、統一性を示している。したがって、未熟な狭間が月読の教育を経て、完全(一人でできるという意味で)になったということから七年とした。


名前
なまえ
外視風景
名詞
[参照]
「ものの名前を知るのはそのものの本質を知ることであり、ものの名前を呼ぶのはそのものに影響を与えることである」という信仰。場所を名前を知ることで支配できるなら、他のものも同様に名前を知ることで支配できる。この設定はアーシュラ・K・ル=グウィンの小説「ゲド戦記」が有名で、外視風景 2/深淵侵蝕もその流れを受けている。詳しくは「言葉」を参照されたい。


人形
にんぎょう
外視風景
名詞
[参照]
広義では人間や動物、あるいは実在していないものを形作った物体。狭義では人の形をした物体。類感魔術では「形の似たものは、相互に影響を及ぼしあう」という考えがあるため、昔からしばしば呪いをかける道具として用いられてきた。反対に自分に降りかかる不幸や呪いを受け流すための道具としても使われる。小説内では病院にある人形(医療用の模型か、デパートなどにあるようなマネキンかは語られない)を操っていた。


能力
のうりょく
外視風景
名詞
[データ]
不結合者が霊気を使って起こす特殊な力のこと。


― は 行 ―
白櫃
はくひつ
外視風景
題名
[データ]
外視風景 2/深淵侵蝕の第二章のタイトル。造語。白い棺のこと。

[裏設定]
狭間の病室の印象から。


狭間 柊
はざま しゅう
外視風景
人名
[データ]
外視風景における主人公。識外読視という能力を持つ不結合者だが、普段はそれを抑える指輪をはめて無効化している。特に抜き出た才能もなく、一般的などこにでもいる青年。こちら側の世界では無知に等しい。本来なら高校に通っている年齢だが、社会的に存在しないことになっているので、高校には通っていない。お人よしで困っている人を見かけたらすぐに助けに行ってしまう。子供の頃の辛い体験から、自分の価値、人の生死に敏感で、それについて度々悩まされている。昔の記憶が欠如しており、病院で目覚める以前のことは覚えていない。17歳。

[参照]
狭間とは境界。生と死、自己と他人など。答えを出すことに戸惑っている。したがって狭間。


東倉下女学院
ひがしくらしたじょがくいん
タナトスの海
名詞
[データ]
尾鷲の住む街にある建物。


平瀬さおり
ひらせ さおり
白詰草の咲かない春に
人名
[データ]
主人公。地元の小学校、中学校を経て、看護系の専門学校に入る。人当たりがよく、男女問わずその信頼は厚い。女の子らしい趣味はなく、私生活に関しては中性的。いろいろ面倒という理由から色恋沙汰には心底無関心である。


復元詠唱
ふくげんえいしょう
外視風景
名詞
[データ]
魔術師の三大能力の一。また、三つある詠唱方法のうちの一つ。何かと戦闘を行うことになった際、攻撃や防御で呪文を唱えたりするが、完了まで相手が待っていてくれる可能性はゼロに近い。そのような場合に魔術発現までの過程を一連の流れとし記録し、予め違う手段に置き換えることで、時間の短縮化を図る。記録して保存しておいたものを行使するという意味で、これを復元詠唱という。例えば、魔術発現までに五つの条件を満たさなければならないとする。それを何か(魔術師は好んで言葉を使う)に置き換え、それを実行するだけでその魔術を発現させるのである。ただし、記録された魔術は自分の中で保存しておかなければならないため、何もしていなくても魔力を使うことになり、その分、他の魔術の使用は制限される。また、セオリーどおり発現した時と比べて魔力の消費量は大きい。基本的にレベルの高い魔術師ほど復元詠唱の数が多い。これも使用するかしないか自由なため、完全に魔術師のレベルを計れるものではない。当たり前のことであるが、使用頻度の高い魔術を記録しておくことが多いようである。


不結
ふけつ
外視風景
題名
[データ]
外視風景 2/深淵侵蝕の第一章のタイトル。造語。

[裏設定]
月読が狭間にした不結合者の説明である“世界と交じり合えない異端”より。


不結合者
ふけつごうしゃ
外視風景
名詞
[データ]
結び合えない者。霊気を用い、能力を行使できる者の総称。世界と交じり合えない異端。したがって、不結。教会が用いていた言葉が広まった。本人以外の誰か(不結合者という存在を知りえているもの)が、能力を行使しているところを見て初めて不結合者とされる。


プルート
ぷるーと
外視風景
人名
[データ]
実果香織が飼っていた黒猫。どこかの大きなネズミが飼っている犬の名前。冥王星。冥界の神の名。

[裏設定]
エドガー・アラン・ポーの小説「黒猫」の猫が主人公を追い詰める。その話を引用し、実果を追い詰める役になっている。

[参照]
エドガー・アラン・ポーの小説「黒猫」に出てくる猫の名前を引用。


閉鎖
へいさ
外視風景
題名
[データ]
外視風景 1/精神感染の第一章のタイトル。

[裏設定]
狭間たちが閉鎖された空間に誘われたこと。あるいは、その村全体の様子。


ホスピス
ほすぴす
タナトスの海
名詞
[裏設定]
ここで出てくるホスピスは末期患者の入る終末病棟ではなく、「もてなす」というもともとの意味。病院という意味の「hospital(ホスピタル)」は「ホスピス」から来ている。もともとのホスピスは怪我や病気の治療だけでなく、全人的なケアを目的としていた。したがって、今ある病院のような怪我を治すだけのような施設はホスピタルではないという皮肉。


蛍川 幹葉
ほたるがわ みきは
彩夏
人名
[データ]
彩夏の主人公。どこにでもいる普通の学生。弾けているわけでもなく、真面目すぎるということもない。紫月と出会ってからは毎日を楽しく過ごしている。


穂積操
ほづみ みさお
タナトスの海
人名
[データ]
尾鷲の通う霧島学園にやってきたカウンセラー。物語のもう一人の主人公。歩くたびに揺れるポニーテールが印象的。

[参照]
名前は1903年、華厳滝で自殺し、ウェルテル効果により多くの犠牲者を出した藤村操から引用。当時、学校で藤村に英語を教えていた夏目漱石にも大きな影響を与えた。物語終盤の「……人はどうして生きているのか解からないもの」という台詞は藤村操が「人はなぜ生きているのか不可解也(人生不可解也)」と残して自殺したことを引用している。


― ま 行 ―
魔術
まじゅつ
外視風景
名詞
[データ]
人間にもともと備わっている自然や神秘などに干渉する能力(魔現境界)を使い、自然や神秘の力を借りて特殊な行動を起こすこと。人が不結合者の能力を欲して研究し、体系付けてきたものであるが、それ以前よりシャーマンなどによって使われてきた。ただし、不結合者の能力と魔術とどちらが先に使われ始めたかは不明である。


魔術師
まじゅつし
外視風景
名詞
[データ]
主戦力及び、主研究対象のために魔術を行使するものの総称。


魔障壁
ましょうへき
外視風景
名詞
[データ]
魔術師の三大能力の一。魔術で身体の周りに防壁を張り巡らせ、物理的・魔術的効果を軽減できる。基本的にレベルの高い魔術師ほど魔障壁の能力が高い。ただし、好き嫌いで使用するか否かを選択できるので、一概にそうであるとは言えない。


MACHINE HAZARD
ましん はざーど
MACHINE HAZARD
題名
[データ]
小説のタイトル。

[裏設定]
機械的な危険という意味。


まぼろし
外視風景
名詞
[裏設定]
幻覚や蜃気楼などの幻ではなく、人が真実だと思って今まで構築してきたもの。狭間の「この世が地獄で幻の世界が幸せな天国なら、幻を見ている人はそのままにしておいた方がいいのか」という問いがこの物語の主軸である。真実を知るまでは幻は現実であるが、もし真実がその人にとっての地獄であるならば、それを他人が引き戻すことは正しいことなのか、あるいは辛いことから逃げ、幸せだけで作った幻想に溺れることは正しいのかという二つの問いかけをしている。境界線を引けない人間にとって、それは誰にも指摘することができない永久の課題である。


魔力
まりょく
外視風景
名詞
[データ]
その魔術あるいは魔術を行使するものが内包している強さを表した指標。明確な数字として表されるわけではなく、高い低いと表現する。


三木下総合病院
みきしたそうごうびょういん
タナトスの海
名詞
[データ]
尾鷲の住む街にある建物。この街の人間が怪我や病気をした際にまず訪れる場所。


実果 秋絵
みら あきえ
外視風景
人名
[データ]
挟間たちが泊めてもらった家の老婆。一人暮らし。子供の重のことを大事に思っている。温厚で優しい性格の持ち主。


実果 香織
みら かおり
外視風景
人名
[データ]
実果重の元妻。夫重への傷害事件と子供利也の殺人事件の重要参考人として指名手配中。現在も行方不明。

[裏設定]
乖死残魄の不結合者で霊体になるが、まだ力が弱いので、埋められた場所に留まっている。


実果 重
みら しげる
外視風景
人名
[データ]
物語の中心人物。幻を見るとして月読に診察を依頼する。実は秋絵さんが強引に受けさせただけで、本人はあまり乗り気ではない。子供が何者かに殺されてからは田舎に帰ってきている。

[参照]
作中で夜霧に名前を教えるとき『みら じゅう』と教えているが、これはmirage(みらーじゅ)をもじったものであるという暗示。実果の名前は蜃気楼の英語からきている。また、麻薬に手を出していたり、酒乱であったことなどは小説『黒猫』の作者エドガー・アラン・ポーと酷似している。


実果 利也
みら としや
外視風景
人名
[データ]
実果重と香織の間に生まれた子供。何者かに鈍器のようなもので殴られ、死亡。享年6歳。


― や 行 ―
幽霊
ゆうれい
外視風景
名詞
[データ]
乖死残魄の不結合者のことを指す。乖死残魄は比較的観測しやすい能力なので、それを見た人間が幽霊と呼ぶようになった。


夜霧 絢那
よぎり あやな
外視風景
人名
[データ]
月読の日常生活において、あらゆることに支援している少女。過去の事件で月読と知り合い、それからは月読のために生きている。月読に絶対の信頼を持っている。異感の瞳と腐朽欄死の不結合者。この能力が昔の事件を引き起こしたらしい。狭間と同年齢だが、なぜかしっかりして見える。笑顔を絶やさず、優しい。料理洗濯などの家事を一人で引き受けるなど、母親の役割を受け持っている。月読と長く一緒にいるからか、知識が深い。17歳。


― ら 行 ―
利己的
りこてき
タナトスの海
名詞
[参照]
エミール・デュルケームの『自殺論』に書かれている自殺の四種類のうちの一つ。孤独感や焦燥感などによって起こる自殺をいう。


利他的
りたてき
タナトスの海
名詞
[参照]
エミール・デュルケームの『自殺論』に書かれている自殺の四種類のうちの一つ。集団の圧力によって自殺をせざるを得なくなる状況で起こる自殺をいう。


類感魔術
るいかんまじゅつ
外視風景
名詞
[データ]
結果を模倣することにより目的を達成しようとする呪術。つまり「形の似たものは、相互に影響を及ぼしあう」という考え。丑の刻参りやヴードゥー人形などはこれである。

[参照]
類感呪術(小説内では呪術も魔術の一種と考えるので類感魔術と表記している)は社会人類学者ジェームズ・フレイザーの「金枝篇」に記されている呪術の分類。


霊気
れいき
外視風景
名詞
[データ]
全てのものから放たれている何か。不結合者はこれを操ることでいろいろな能力を行使している。

[裏設定]
魂の一部が具現化したもの。この世界に存在する全てのものから発せられている何か。生きていたいという想い。不結合者とはたまたまそれが能力として行使できるだけで、不結合者だから霊気が強い=生きたいという想いが強いということではない。不結合者の強いとは、たまたま霊気が外界に影響する力が強いことをいう。いわば、才能である。


黎明
れいめい
彩夏
名詞
[データ]
紫月が経営する絵画店の名前。

[裏設定]
夜が明けて朝になろうとする時間帯。転じて、物語の始まりを感じさせる雰囲気と、紫月が病気を受け止めて生きていこうと考えた時の心境を表す。