第九回 「消略法の基礎・応用」

これが省略法(ぇ
いきなりサンプルです。


ex)
(普 通)これが省略法です。
(省略法)これが省略法。


普通に書くとこの文の最後には「です」が付きますが、下の文では消えています。
このように省略法とは本来続くはずの言葉を消して、そこを強調する技法をいいます。
この一文だけだと普通に見えますが、ずらーっと文が続いていくと、省略法は力を発揮してきます。


ex)
所詮は噂。
人の興味が作り出した幻想話。
しかし、なぜかそれはやがてある一点に向かって収束する。
より突拍子のないものへと。
そして、より近い真実へと――


最後の二行が省略法ですね。
本来なら「へと」で終わらず、「へと向かう」とか、あるいはその前の文章から「収束」という単語を持ってきて、「へと収束する」とか入るでしょう。
うまい具合に並んでいるので比較しやすいと思いますが、この三行は下にいくほど重要なことを言っています。
こうやって強調したい箇所に使うと効果的です。
あと、二つ、三つと並ぶ場合は「――(ダッシュ)」を使ってやるとさらに強調されます。


それでは、応用してみましょう。

見てもらったとおり、省略法は簡単です。
しかし、重要なのはこの省略法が他で話そうと思っている「連続使用の注意」に深い関わりがあるということです。
上の文章は省略法を使うからああいう風になっていますが、もし、省略法を使わないで「収束」と言う言葉を入れてしまうとどうでしょう?


ex)
しかし、なぜかそれはやがてある一点に向かって収束する。
より突拍子のないものへと収束する。
そして、より近い真実へと収束する。


詳しくは「連続使用の注意」で話しますが、簡単説明すると、上のように同じ言葉を何回も繰り返してしまうとまぬけに見えてしまうんです。
感じは第五回「連続使用の注意(名詞)」と同じです。
省略法は強調するだけでなく、それを防ぐひとつの手段なのです。
文を綺麗にまとめて強調する
これこそが省略法の持つ性質です。
また、他にも応用できる点があります。
それは上で書いたように省略法を元の文に直して考える時、人によってそこに入る言葉が全然違ってくるということです。
「収束する」「向かう」「進む」などなど考えればいくつも入りそうな言葉が出てきます。
それを利用すると不連続(第三回「連続と不連続」参照)を作ることができます。
読者によってそこに補完される言葉が変わってくることを利用すれば、その一文だけで読者を引っ張ることが可能になります。
しかし、デメリットもあります。
それは省略法の応用が裏目に出てしまう場合です。
「ここに入る言葉はこれしかない」という気持ちで書いたとしても、読者はそこに思ったとおりの言葉を入れてくれるとは限りません。
全然違う言葉を入れてしまい、中身がちぐはぐになってしまうこともあります。
それが省略法の弱点なのです。
そこに入る言葉はこれしかないとなるような誘導が最も好ましいわけですが、なかなか難しいですね。

それでは、あでゅー。

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