第七回 「名前を付けよう」

さて、今までいろいろ勉強してきたので、そろそろ書きたくなってきた頃じゃないでしょうか?
これからも技法などは紹介していきますが、たまには小説の話を書いてみる事にします。
小説を書く時に必要不可欠なもの、それは登場人物です。
人間じゃなかったとしても、何か動くものがなければ話が成り立ちません。
この登場人物を動かして世界を作っていくのですから、名前は必須。
それぞれにちゃんと名前を付けて、他の登場人物と区別しなくては誰が何をしているのか解からなくなってしまいます。
登場人物みんなが同姓同名だと意味不明になりますからね。
ここでは私がキャラクターに名前を付ける時に使う方法を紹介します。

私が考える事は主に四つ。
1、物語の設定上必要な名前
2、何かからの引用
3、キャラクターの雰囲気、性格など
4、名前のバランス、見た目、響きなど

それでは1〜4を順番に見ていきましょう。


1、物語の設定上必要な名前
小説を書く時に考えるのは名前だけではありません。
世界観を作る事は必須です。
さて、私の実家の近くに「木折峠」という場所があります。
なぜ、そう呼ばれるようになったか、少し昔話をしましょう。

昔、ある旅人がこの峠に差し掛かった時、どういう訳か通りがかりの侍に切りつけられてしまいました。
村の人は必死に介抱したのですが、その甲斐なく旅人は息を引き取ってしまいます。
その旅人がその直前に、
「よくしてもらってありがとうございます。しかし、私はもう長くない。だから、私が死んだらここに埋めてください。峠を安全に通れるようお守りします。そして、峠を通る時は線香などではなく木の枝を折って供えてください」
と言って亡くなりました。
それで、木を折って供える峠、木折峠と呼ばれるようになったのです。

こういう話の流れからくれば、木折峠と付けられたのは必然だと言っても過言ではありません。
もし、違う名前を付けていたとしたら、話は完結するでしょうが、木折峠と付けた時より印象が薄くなってしまうのは目に見えています。
関連性がある名前を付ける事によって意識させるものに仕上げる事が大切です。
自分で考えた世界観、流れと関連を持たせることでより深い設定を作ることも可能です。
実はこの旅人の名前が「坂守」だった、とかいう後日談を加えたなら、さらに興味深いものになるでしょう。


2、何かから引用
この世にはいろんなものがあります。
神話だったり、伝説だったり、あるいは曜日の名前、本のタイトルなどなど数え切れないほどいろんな名前が存在します
これはそういったものを巧みに用い、名前を付ける方法です。
例えばHAPPY☆LESSONのキャラクターの名前は「うづき(=卯月)」「きさらぎ(如月)」「さつき(=皐月)」という風に月の名前が使われています。
また、エヴァンゲリオンでは「碇(=錨)」「加持(=舵)」など船の機関の名前ですし、「冬月」「綾波」「葛城」などは戦艦の名前です。 有名なドラゴンボールも食べ物の名前なんかが多いですね。 このようにただ引用する事もあれば、攻殻機動隊のように物語の雰囲気などから「草薙素子(「もとこ」という名前と「そし」という世界観)と名前を付けるのも作品を盛り上げる一つの手段です。
どんな話を書きたいのかその話に共通する事は何なのか、考え出すと名前を付けるという単純な事でさえも怠れません。


3、キャラクターの雰囲気、性格など
どんな雰囲気、性格のキャラクターかという事は小説を書こうと思った時に確定ではなくともある程度は考えていると思います。
優しい人、怖い人、強い人などなどいくらでも考えられるでしょう。
ところで、今ハードボイルドな無敵の殺し屋が主人公の話を書こうと思ったとします。
主人公なのでかっこいい名前を付けたい。
しかし、ここで「田中 一(たなか はじめ)」なんて付けた日には雰囲気ぶち壊しです。
また「川澄 透(かわすみ とおる)」という名前は殺し屋より好青年な印象を受けます。
やはり「名は体を表す」と言われるように、殺し屋には殺し屋らしい名前があるはずです。
試行錯誤して名前を見ただけでキャラが想像できるような立派な名前を付けてあげましょう。
イメージが大切です。


4、名前のバランス、見た目、響きなど
これは単純。
自分の好きな、あるいはかっこいい、綺麗な漢字、好きな響き(「つき」とか「かぜ」とか)。
そういうものを使って性格や雰囲気は全然無視して、考えた名前をキャラクターに付けてあげる方法です。
何の関連もないけど、この名前が好きだからというのも案外楽しいもの。
深い設定とかそんなの考えずに名前を付ける訳ですから完全に好みや性格が出る方法です。
私の場合、暇な時に漢和辞典をぺらぺら捲ってみて、良さそうな漢字を探したり、友達や知り合い、本やテレビで見つけたいい苗字や名前をメモっています


名前のネタはその辺にいくらでも転がっています。
常に目をぎらつかせてチェックしましょう。
がんばって考えた名前はただ単にストーリーを盛り上げるだけでなく、愛着が沸くのでやる気も変わってくるものです。

それでは、御機嫌よー。

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