第十四回 「擬音語使用時の注意」

擬音語とは第六回「擬音語」で話したとおり、何かの音を文字で書く表現方法です。
まず、軽く復習。


ex)
猫がにゃーと鳴いた。


この「にゃー」という部分が擬音語になります。
詳しくは第六回を参照していただくとして、今日はこの使い方の話。


ex)
話が一段落すると、秋絵さんは俺と海葉さんを寝室に案内してくれた。
廊下を歩くと、外の風の音がよく聞こえた。
ビュービュー――
強い風が家全体に吹きつけている。
「家が古いからね。隙間風が入ってくるけど、堪忍しておくれ」
確かにところどころから風が入り込み、戸がカタカタと揺れていた。


外視風景の一部を引っ張ってきてちょっと修正しました。
全く問題ない文章に見えますが、風の「ビュービュー」というところに注目してください。
なんだか幼稚に見えませんか?
実際の小説では「木を根こそぎ持っていってしまいそうなほどの大きな風が、家全体に吹きつけている」となっています。
この二つを比べてみるとその差は歴然です。
擬音語を用いるとその音を容易に表現でき、一見万能な方法に見えます。
ですが、擬音語をむやみやたらに使ってしまうと、どんな風であろうと「ビュービュー」で済ませてしまい、小説に大切な雰囲気や状況が表現できません
何も考えずに使ってしまうとその小説のレベルを下げてしまうことになります。
擬音語を使わず、どんな風なのかどれぐらいの強さかどのような雰囲気なのか、ということを文章で表現してみましょう。
そうすれば、一歩進んだ表現ができるようになると思います。

ここで、「じゃあ、最後の行の擬音語もそうなのか」という意見が出てくると思います。
そこでこの例を見てみましょう。


ex)
・パターン1
ビュービュー――
強い風が吹いている。

・パターン2
ビュービューと強い風が吹いている。


全く同じ文に見えます。
しかし、ちょっと違うんです。
ここで思い出してほしいのが第八回 「その物語は誰が見てる?」 の話です。
パターン1は内的焦点化と焦点化零の組み合わせからできています。
「ビュービュー」という風の音は誰か特定の人が聞いているわけではありません。
その世界に存在している音をそのまま神様が文字にして見えるようにしているのです。
そして、その風の音を聞いた人が「強い風が吹いている」と思っているんです。
逆にパターン2は内的焦点化のみです。
登場人物が「風がビュービュー吹いているなー」と感じたわけです。
皆さんも、「犬がワンワン鳴いててうるさかった」とか「ボンッていう音がしたと思ったら事故だった」といいますよね。
つまり、1は風の音を書いて、2はその人がこう聞こえているということを書いているんです。
1は誰が聞いても「ビュービュー」ですが、2は違います。
毎年たくさんの台風が来る沖縄の人なら「これぐらいの風、なんでもない」と思って「ピューピュー」という書くかもしれません。
逆に北海道なら「ゴーゴー」かもしれません。
「ビュービュー」と書いてしまうと、その音しか想像できなくて、イメージを一点に固定してしまうのです。
その二つを区別して、使い分けることで、あなたの小説はレベルアップするはずです。

では、どういう風にレベルアップするのでしょう。
前半で話したことを使うと、読者にその情景をより細かく想像させることができます。
これで文章に重みや雰囲気が出てきます。
後半でやったことは、キャラの性格などを区別するのに使えます。
か弱い臆病な女の子なら、少しのことでも大げさに表現するかもしれません。
逆も然り。

昔、私も注意されてからはパターン1の表現は使わないようにしています。
それでレベルアップしたかは解かりませんが、やはり少し文章が変わった気がします。
一つの「ビュービュー」という風の音でも、細かく描写すれば何万何億という表現方法があります。
細かな状況、書き方などを工夫するとさらにいいものが書けるでしょう。
最初はなかなか思いつかなくて苦労すると思いますが、少しずつ慣らしていきましょう

あでゅ〜。
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